<Header>
<Author: 白居易>
<Title: 新樂府 井底引銀缾	止淫奔也>
<Format: 格式不明>
<Year: 1964>
<BookName: 漢詩大系  白樂天>
<Translator: 田中克己>
<style: 現代文無假名>
<style2: 日本現代譯文無假名標注>
<TranslatedTitle: 井底引銀缾>
<BookPage: 99-102>
<UsedPage: 4>
<Feature: 1, 4>
<End Header>
<Poem>
井底引銀缾，
銀缾欲上絲繩絕。
石上磨玉簪，
玉簪欲成中央折。
缾沈簪折知奈何，
似妾今朝與君別。
憶昔在家爲女時，
人言舉動有殊姿。
嬋娟兩鬢秋蟬翼，
宛轉雙蛾遠山色。
笑隨戲伴後園中，
此時與君未相識。
妾弄青梅憑短牆，
君騎白馬傍垂楊。
牆頭馬上遙相顧，
一見知君即斷腸。
知君斷腸共君語，
君指南山松柏樹。
感君松柏化爲心，
闇合雙鬟逐君去。
到君家舍五六年，
君家大人頻有言。
聘則爲妻奔是妾，
不堪主祀奉蘋蘩。
終知君家不可住，
其奈出門無去處。
豈無父母在高堂，
亦有親情滿故鄉。
潛來更不通消息，
今日悲羞歸不得。
爲君一日恩，
誤妾百年身。
寄言癡小人家女，
慎勿將身輕許人。
<End Poem>
<Translation>
井戸の底から銀のッルベをひきあげようとする。銀のつるべはあがりそうになってつなが切れた。石の上で玉のカンザシをすりみがく。玉のカンザシはできあがるきわに中央が折れた。ツルベが沈みカンザシの折れたのはどうしようもなく けさわたしがあなたと別れたのとそっくりである。思い出せばむかし家にいて娘だったとき みんなはいった「たちいふるまいがすぐれている」と。美しい両鬢はセミのはねのようで きれいな両の眉は遠山の色のようだった。わらいながら遊び友だらと裏庭にいっしょにいて そのときはまだあなたと知りあいじゃなかった。ある日わたしが青梅の実をおもちゃにして低い垣根にもたれていると あなたが白い馬にのってシダレヤナギぞいに来られた。垣根のわたしと馬上のあなたとはるかに顔みあわせて ひと目であなたがわたしを好いたのがわかった。好いてくれたのがわかったので話しあったところ あなたは南山の松柏を指さした。あなたが「心を松柏のようにトキワニカキワニ」とおっしゃったので ひとにいわずヮゲを一つにしてあなたのあとをおっかけた。こうしてあなたの家で五、六年いると おしゅうとさまはたびたび反対をおっしゃった。「結納をやって迎えれば妻だが、かけこみは妾だ。めかけには御先祖のお祭りやお供えごとはできない」と。それであなたの家にとどまっておれないことがわかったが 門を出てもゆくところがないのでどうしよう。わたしの父や母はりっぱな座敷にいるし 親戚たちも故郷にいっぱいいるのだが――。わたしはかってににげて来たので、その後たよりもしていないし いまとなっては悲しくはずかしくって帰れない。ほんとにあなたのたった一日のお情けで わたしは一生をだいなしにしてしまった。世間のおろかなわかいむすめたちにいってやりたいことは 「注意して自分の身を軽率に他人にまかさないように」と。
<End Translation>
<Formatted Translation>
井戸の底から銀のッルベをひきあげようとする。
銀のつるべはあがりそうになってつなが切れた。
石の上で玉のカンザシをすりみがく。
玉のカンザシはできあがるきわに中央が折れた。
ツルベが沈みカンザシの折れたのはどうしようもなく 
けさわたしがあなたと別れたのとそっくりである。
思い出せばむかし家にいて娘だったとき 
みんなはいった「たちいふるまいがすぐれている」と。
美しい両鬢はセミのはねのようで 
きれいな両の眉は遠山の色のようだった。
わらいながら遊び友だらと裏庭にいっしょにいて 
そのときはまだあなたと知りあいじゃなかった。
ある日わたしが青梅の実をおもちゃにして低い垣根にもたれていると 
あなたが白い馬にのってシダレヤナギぞいに来られた。
垣根のわたしと馬上のあなたとはるかに顔みあわせて 
ひと目であなたがわたしを好いたのがわかった。
好いてくれたのがわかったので話しあったところ 
あなたは南山の松柏を指さした。
あなたが「心を松柏のようにトキワニカキワニ」とおっしゃったので 
ひとにいわずヮゲを一つにしてあなたのあとをおっかけた。
こうしてあなたの家で五、六年いると 
おしゅうとさまはたびたび反対をおっしゃった。
「結納をやって迎えれば妻だが、かけこみは妾だ。
めかけには御先祖のお祭りやお供えごとはできない」と。
それであなたの家にとどまっておれないことがわかったが 
門を出てもゆくところがないのでどうしよう。
わたしの父や母はりっぱな座敷にいるし 
親戚たちも故郷にいっぱいいるのだが――。
わたしはかってににげて来たので、その後たよりもしていないし 
いまとなっては悲しくはずかしくって帰れない。
ほんとにあなたのたった一日のお情けで 
わたしは一生をだいなしにしてしまった。
世間のおろかなわかいむすめたちにいってやりたいことは 
「注意して自分の身を軽率に他人にまかさないように」と。
<End Formatted Translation>